痛みの診える、柔整師
山形県こうふく接骨院 編
ここ山形県村山市は、東西を奥羽山脈と出羽丘陵に囲まれ、東西に広い形をしている。中央には最上川が北に流れ、静かで自然環境の豊かな地域だ。
院の中に入ると、すみずみまで整理整頓の行き届いたきれいな待合室がある。待合室に設置されたモニターには、患者さん方に向けた休診日などのお知らせが、常時アナウンスされている。
また、待合室の奥には、横になるなどしてくつろげそうな、カーペットの敷かれたスペースもあった。そこにはクッションなども置かれており、お体の不自由なお年寄りや、小さなお子様などを連れた親御さん達等にはとても喜ばれそうだ。
こうふく接骨院は、院長である黒田先生と、看護師やアロマテラピーのアドバイザーの資格を持たれた奥様のお二人の連携で、患者さんの対応をされているようだ。
超音波は「静的」な情報のみならず、「動的」な情報をリアルタイムで得られる点が大きな魅力。
Q1、先生が超音波診断装置を導入しようと思われたきっかけは何でしたか?
- 先生
- 10年ほど前、恩師から「これからは超音波画像の時代になる。」と誘われたのがきっかけです。
当時は、現在ほど超音波画像描出の手法も確立されておらず、周知のものでもありませんでした。その為、「よさそうだなぁ。」とは思いましたが、強く導入したいとは考えていませんでした。
しかし、その数ヵ月後、日本超音波骨軟組織学会の前身であった"日本運動器系超音波研究会"の催事に出席し、参加者方の熱意と向学心の高さに驚きを憶えました。とりわけ、懇親会の席でもPCを離さず、超音波画像に情熱を傾けていたある先生の姿勢に感動し、私も頑張ってみようと思ったんです。個人のスキルアップという事だけではなく、的確な情報をより早く提示することが、社会的公益性に沿ったものであると皆さんの姿勢から教えられたのが大きな理由です。
Q2、超音波導入後の、患者さんの反応はいかがですか?
- 先生
- 徒手検査等から得た情報に視覚的情報が加わることで、"インフォームドコンセント"がより整然となり、患者さんやそのご家族から理解を得やすくなったと感じています。




この日、超音波による診察の様子を見学させていただいたのは、2名の中年女性の患者さん。
1人目の患者さんは、転倒して膝を痛めて来院。水腫が認められた為、経過の観察と治療を続けられていた。また、2人目の患者さんは、漬け物石を持った時に膝を捻ってしまい、痛みを訴えて来院された。その後、同じく経過の観察と治療を続けられているという。
黒田院長は、徒手検査を中心にして、視診や問診から得られた患部の情報を的確に捉えていく。その後、超音波診断装置を用いて、システムに微妙な設定調整を加えながら、膝から得られる画像情報も判断の参考に加え、今後の治療方針を患者さんに解説された。
■使用機器
超音波診断装置:SSD-900(アロカ社製)
画像処理ソフト:ウルトラ三四郎
Q3、どのような疾患を観察する場合に、超音波観察の有用性を感じますか?
- 先生
-
軟部組織損傷における有用性は高いと思います。超音波エコーは、患者さんへの身体的負担は殆どありません。また、画像を映し出し、皮下の組織状態を確認しながら触診できることが非常に素晴らしいのです(透視能力を身に着けたのと同じですから)。
勿論、骨損傷についても有用性は高いですし、組織の静的な(安静時の)情報だけではなく、動的な(運動時の)情報の収集をリアルタイムに出来るところが大きな魅力です。
Q4、プローブ・ワークの習得は難しそうですが、お勧めの学習法などがあれば教えて下さい。
- 先生
-
日本超音波骨軟組織学会への入会をお勧め致します。何段階ものプログラムを持ち、優れた講師陣・インストラクターの先生方がいらっしゃいますので、全く超音波を知らない方でも気軽に知識と技術を習得できると思います。
普段聞く機会の少ない基調講演や症例発表も参考になると思います。独習法としては、多くの先生方も仰られるように、使い慣れることだと思います。
基本をしっかり押さえてとにかく使う。これしかないように思います。私も技術はまだまだですので、この繰り返しを日々行っております。
Q5、先生が患者に治療を施す上で、一番大切にされていることは何でしょうか?
- 先生
-
研修を始めた頃、恩師より受けた「どんなに優れた効果や結果が出たとしても、自分が治したなどと思ってはいけない。患者さんの傍にあり、手助けに努めること。」という言葉を今でも大切にしています。
超音波画像についても、まず画像ありきではなく、臨床症状や受傷機転、判断を行っていく上での過程が大切だと思いますし、予想以上に良い画像データが得られても、慢心してはいけないと自戒しております。それは、リスクの回避と患者さんの安心に繋がるように思います。また、治療方針・効果にしても、「100%絶対」ということはありませんので、どのようなケースであれ、客観的に常に再考するよう留意しております。
超音波画像による症例の解説
〔症例1〕 右足関節外果
患側長軸

健側長軸

患側短軸

健側短軸
エコー所見〔内側関節裂隙の比較〕
〔14歳 男性〕
1年ほど前に野球中に捻挫した既往あり。自分でシップ等を使い練習を続けていたが、
痛みが取れない状態であったという。
2008年3月上旬、痛みが増加してきたため総合病院へ。陳旧性の骨端線離開との事。
リハビリも行ったが、好転なく。その後、さらに数日間自宅安静したが痛み(強い自発
・夜間痛)変化なく来院(3/8)。大会が近づいているために競技への一刻も早い復帰を望んでいた。
来院時には自立歩行はどうにか出来ていたものの、顕著な跛行が見られ接地時の強い痛みを訴えていた。画像上、右足関節外果部の離開と思われる状態が長軸・短軸ともに確認できる。3回目の来院時には通常歩行が可能となり、5回目の来院時までにランニングで
の疼痛も消失していたので、練習復帰を促した。6回目の来院時に痛みは発現していなか
ったので治癒とした。
〔症例2〕 腓骨下端部骨折(右足関節外髁)
患側長軸 健側長軸
患側長軸 健側長軸

右足関節 患側

左足関節 健側
※水平方向に画像を反転加工してあります
〔69歳 男性〕
2008年2月8日、果右足関節外髁樹剪定作業中躓き捻り受傷。
剪定指導に行っていた先での受傷であったため(栃木県宇都宮市)、現場近隣の治療院で加療を受けたという。捻挫であろうという判断で、伸縮包帯の固定であった。
2008年2月10日来院。強い腫脹、熱感、介達痛、限局性圧痛、外髁下部ならびに足趾に内出血班を認める。患側足は接地はどうにか可能だが、歩行は極めて困難な状態であった。
この日は、患部の状態をエコーで確認し、翌日改めて観察を行った。掲載画像は2008年2月11日のものである。
視覚的情報が加わる事で「インフォームドコンセント」がより整然になりました。
超音波診断装置で描出・記録し、その後、ビデオプリンターで印刷した画像は、患者さんへの現状の解説や治療方針の説明の補助として大きな役割を果たす。診察をして治療を施し、その結果、言葉だけで患者さんに現状のすべてを理解してもらう事は、なかなか容易なことではない。
しかし、そこに"超音波画像"という一枚の視覚的情報が添えられる事によって、患者さんの立場からすれば、より理解を深めていただく為の材料が増えるわけである。
また、こうふく接骨院では「福田―安保理論:自律神経免疫療法」と「東洋医学」に準じた理論・療法を行っているとの事。詳しい内容は、こうふく接骨院で開設しているホームページで紹介されています(http://www4.ocn.ne.jp/~kouhuku/index.html)。



黒田院長は現在、日本超音波骨軟組織学会の評議員をされている。以前は理事を務められていたほどの実力の持ち主で、長年にわたり超音波診断装置を日常診療に取り入れて有効活用し、学会での活動を通して、超音波の普及にもご尽力された先生の中のお一人だ。
また、超音波観察以外にも様々な治療法に関心を持たれている黒田院長は、その他の勉強会やセミナーにも積極的に参加されている。
治療所のご紹介
こうふく接骨院
○住 所:〒995-0032 山形県村山市楯岡荒町1-9-20
○電 話:0237-55-5054
○休 診:日曜、祝日
○アクセス:JR日豊本線『都農』駅を降りて徒歩10分、車で3分ほど。
こうふく接骨院 ホームページアドレス
当院のホームページでは、診療内容、治療方法、院内の治療機器、アクセス方法など、詳しくご紹介させていただいております。ぜひ一度ご覧下さい。
http://www4.ocn.ne.jp/~kouhuku/index.html
院長プロフィール
黒田 康史(くろだ やすし)
昭和41年6月22日 生まれ
(山形県出身)

〈略歴〉
・1989年 赤門鍼灸柔整専門学校 鍼灸指圧科卒。
・1991年 赤門鍼灸柔整専門学校 柔道整復科卒。
・1991年 埼玉県の鍼灸整骨こうふく治療院にて研修。
・1994年 現在の治療院開院。
・2000年 東北運動器系超音波研究会・評議委員就任。
・2001年 日本超音波骨軟組織学会(JSBM)・理事就任。
・2006年 自律神経と免疫の研究会に入会。
・2006年 JSBM・理事を離職し、評議員に。
・2008年 こうふく治療院HP開設。
〈所属団体・学会など〉
・日本超音波骨軟組織学会
・自律神経と免疫の研究会
